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よくある心配事を解決

 排便時に鮮血性の出血がありますが、大腸がんの心配はないでしょうか。

 排便時の鮮血性の出血は、ほとんどが@内痔核A裂肛によるものです。しかしそれらと同時に、直腸がんや大腸ポリープが併存している場合もあります。私どもの病院でも永い間、痔からの出血だと自己診断してそのまま放置していたり、市販の座薬などで適当な治療のまま経過して、かなり進行したがんになって発見されるケースがかなりあります。自分だけはがんとは違うという誤った過信や、仕事が忙しいのでついつい受診しなかったという人が多いのです。さらに一応、近くの医者に診察を受けたとか、総合病院で腸検査を受けたという人の中にも、深部の大腸にがんやポリープがあったり、また発見されずに見逃されていた微小な悪性病変を見つける場合があります。私どもの病院では、比較的容易に全大腸を内視鏡検査でスクリーニングできるスタッフがおりますので、当然のことながら大腸ポリープや大腸がんの発見率が高くなっています。従って痔で受診された患者さんでも、症状によっては大腸内視鏡検査を積極的に行い、大腸の悪性病変の早期発見と治療に役立てており、現在では大腸ポリープは30%、大腸がんは3%ほどの割合で発見されています。
ところで、便の潜血テストをやっているから大腸は大丈夫という人が中におられますが、私どもの病院のデータでは早期がんの半分と大腸ポリープの60〜70%は出血しない病変ですので、潜血テストのみにあまり頼りすぎていますと、病変の早期発見ができないおそれがあります。平坦型の大腸早期がんは便潜血陰性のことが多く、陰性だから安心していると短期間のうちに進行がんになってしまうことも多いのです。特に、@成人病年齢の人A以前にポリープを指摘された人B家族歴にがんのある人、などは大腸内視鏡のスクリーニングを積極的に受けてみる必要があるでしょう。何事においても早めに予防が大切なことですが、自分自身の健康の維持を保つためにも、適切な検診を年1〜2回受けておいた方がよいと思われます。