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外来での痔核の治療と処置
外来でできる痔核の治療と処置について簡単にご説明します。
保存的療法

果物・食物繊維の摂取と水分補給、運動によって便通をよくして過度のいきみを避けることが症状のある痔核の保存的治療の基本と考えます。
a) 温浴療法:痛みや出血などの局所の血流障害を伴う痔核には対して良い方法です。
b) 薬物療法:疼痛、出血の緩和に効果がみられます、一定期間使用しても痔核自体が消失するわけではないので、その治療にはおのずと限界があります。
また慢性の脱肛症状を消失させる効能はないため脱肛には有効性は低いです。

■薬物療法の種類 
@内服薬療法:痔核の炎症を抑える働きや、排便のコントロールのために用いられることがあります。他の治療と併用して症状の改善を図るのに用いられることが多いです。
A外用薬療法:軟膏や座薬などを使用して症状の改善を図ります。

外用薬療法についてのQ&A

■軟膏と座薬ではどちらが良い?

肛門の痛みを伴う場合には軟膏剤が使い易いでしょう。痛みか腫れがある時は肛門の外側に塗布するだけでも効果があります。
座薬は痛みを伴わずに、容易に肛門内に挿入できると予想される場合に用います。座薬は軟膏剤に比べて薬剤による肛門周囲のベタつきが少ないのが利点です。

■ステロイド含有の有無は?

急性期で疼痛か腫れを伴い、速やかに症状を軽快させたい場合はステロイド含有のものでとくにその濃度が高いものを用いると良いでしょう。
使用中に肛門の痒みを訴える症例では副作用も考慮して薬剤の変更、中止をします。
漫然とステロイド含有剤を長期に使用しないように注意しましょう。

■局所麻酔薬含有の有無は?

肛門の疼痛緩和を考える時は局所麻酔薬が配合されているものを用います。局所薬物療法においては剤型、ステロイド含有の有無とその強さ、局麻薬配合の有無を考慮して選択・使用します。
疼痛の強い場合にはNSAIDsの内服薬、座薬も積極的に使用します。

非保存的療法(手術を除く)

a)硬化療法
内痔核に対する治療に用いられます。痔核膨隆部局所に薬液を直接注射して、効果を得る治療法で、長年油性のフェノールアーモンドオイル(PAO)を使用できる唯一の薬液でしたが、2005年3月に水溶性のALTA注が発売 され、注目されています。それぞれの特徴は下記の通りです。
@ フェノールアーモンドオイル(PAO)
5%phenol almond oil(PAOSCLE)を痔核、および痔核根部血管周囲に注射して炎症を起こし、その二次的な線維化により痔核内の血流を低下させ、粘膜下組織を硬化させる方法です。出血のある痔核の止血を図りたい時には非常に有効で速効性があります。外来で無麻酔で肛門鏡下に観察しながら粘膜下層に注射します。
単独使用のみならず、手術治療の際に根部結紮の口側に少量注射したり、切除しない副痔核部に使用したりという副次的な使用方法もあります。
A ALTA(ジオン注)
硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸水溶液(Aluminum Potassium Sulfate・Tannic Acid)を2%に希釈して用います。
硫酸アルミニウムカリウムとはミョウバンのことであり、痔核へ速効性の血流遮断作用を有します。
このため、止血効果と痔核の縮小効果がみられ、さらに痔核間質組織に無菌性炎症反応を惹起させ線維化を起こすことにより、痔核の硬化、退縮および固着させることにより痔核の脱出を消失させる効果があります。
タンニン酸は佐薬として働きます。ALTAは脱出する内痔核に対しても効能・効果を有する注射薬であり、今までは、手術以外に治療法のなかったGoligherV・W度の脱出する痔核に対して適応となる画期的なりうる療法といえるでしょう。

ALTA
なお、ALTA投与に際しては左図のような四段階注射法を遵守することが求められています。
今後、手術との併用により、その適応は拡大してゆくと考えられます。

b)ゴム輪結紮療法
専用の小さな輪ゴムを内痔核膨隆部の基部にかけて輪ゴムの収縮力を利用して絞扼し、痔核を壊死・脱落させる治療法です。比較的小さな脱出する内痔核や出血例に用いられます。軟らかな牽引しやすいものや、単結節状に膨隆している内痔核が好適応ですが、線維化で硬かったり、痔核の膨隆が小さすぎるものは難しく、すぐはずれてしまう可能性があります。
なお、歯状線の下方(肛門側)にゴム輪がかかると疼痛が発生したり、一度に同一環状方向に多数かけると狭窄の原因となることがあります。
ゴム輪結紮療法
c)その他の非保存的療法
その他には、赤外線凝固療法、ICG併用半導体レーザー治療などを用いて行う手技も報告されていますが、いずれも専用の器具が必要なため、一般的に汎用されているとは言えないのが現状です。

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