大腸・肛門病の知識 痔プロ.com
Knowledge of Colorectal Disease
STEP2
クローン病
クローン病クローン病とはどんな病気ですか?

クローン病とは腸管から発生する慢性の炎症性疾患です。クローン病は口から肛門まで消化管の全ての部位に起こりえますが、小腸の末端(回腸)と大腸に最も多く発生します。

クローン病は慢性の疾患であり、生涯のうちいつの時期でも再発するおそれがあります。人によっては数年以上症状がない寛解期が続く場合もあります。いつ症状が増悪するか、または寛解するかを予想することは不可能です。
クローン病の症状は?

クローン病は消化管のいずれの部位にも発生しうるので、症状も人によってさまざまです。多い症状としては、仙痛、腹痛、下痢、発熱、体重減少、腹満などがあります。すべての人にこれら全ての症状が起こるわけではなく、これらの症状がまったく起こらない人もいます。他の症状として肛門痛、排液、皮膚病変、肛門周囲膿瘍、裂肛、関節痛などがあります。
クローン病の症状
どんな人にクローン病が起こるのですか?

クローン病はどんな年令の人にも起こりえるのですが、特に16歳〜40歳の比較的若い人に多く発生します。またクローン病は涼しい気候の国に住む人に多く発生します。男性と女性では同じ位の頻度で発生し、一部では多発する家系もあります。クローン病に罹患している人のうち約20%で、近親者(兄弟や親子など)に炎症性腸疾患の人がいます。

クローン病は潰瘍性大腸炎という病気と状況が類似しており、どちらも炎症性腸疾患と呼ばれています。この二つの疾患はアメリカ人のうち200万人が罹患しています。
クローン病の原因は?

はっきりした原因はまだわかっていませんが、最近では免疫の異常または細菌の関与が最も強く疑われています。クローン病は伝染性の疾患ではありませんが、わずかに遺伝傾向が認められています。クローン病の診断には小腸のレントゲン検査が行われることがあります。
どのように治療するのですか?

最初に薬物療法が行われます。クローン病を完全に治すことは不可能ですが、軽症のクローン病では薬物療法で症状を軽快させることができます。よく用いられているものとして、ステロイドや種々の炎症を抑える薬剤などがあります。

他にしばしば用いられる薬剤として免疫抑制剤などがあります。メトロニダゾールという抗生物質は免疫機構に作用を及ぼすので、この薬剤は肛門疾患を伴っている人によく用いられています。
重症のクローン病や複雑なクローン病の人では手術が必要になることもあります。腸の穿孔や、腸閉塞や、多量の出血が起こった場合には緊急手術が必要になることもあります。他に手術が必要な状況としては、膿が溜まった場合、瘻孔(腸管と他の部位に交通ができること)を作った場合、重度の肛門病変を伴った場合、正しく薬物治療を行っても症状が改善しない場合などがあります。

これらの合併症がある人でも、必ずしも全員に手術が必要になるわけではありません。消化器専門医や大腸肛門専門医と相談した上で、最善の選択を行うことになります。
手術はできるだけ避けるべきではないのですか?

クローン病の人に対しては最初に薬物療法が選択されますが、クローン病患者のうち四人に三人は最終的に手術が必要になるということを知っておく必要があります。「クローン病の手術は危険で合併症が起こる」という誤った考えのために、不要な苦しみを味わっている人がたくさんいます。
手術を行ってもクローン病を根治させることはできませんが、一度手術を受けたら、その後は手術を受ける必要がなくなる人も多数います。現在では病変の部位だけを最小限に切除する方法が最も多く行われています。
手術を受けることで症状の長期改善が得られ、薬の量を減らせることもしばしばあります。クローン病の治療に熟練した医師の手術を受けることをお勧めします。
★出典:ASCRS
戻る
▲ MENU Top