大腸・肛門病の知識 痔プロ.com
Knowledge of Colorectal Disease
STEP2
直腸腟瘻
■直腸膣瘻の種類と発生原因

直腸と膣の間に交通があり、主として膣からガスまたは便汁がでると訴える病気のことです。膣の入り口に近いところを低位、膣の奥と直腸がつながっている例を高位の直腸膣瘻と呼びます。
高位の例は、出産時損傷が多く鉗子分娩などでおこることもあります。一般に症状が見逃されやすいこともあり、長く経過することがあります。
低位の直腸膣瘻は、外傷や出産時の過大な会陰切開に伴っておこることが最も多く、続いて痔瘻や肛門手術に併発して起こった直腸膣中隔の膿瘍が原因で生じます。また炎症性腸疾患のクローン病では、肛門病変に加えて直腸膣瘻を合併することもあります。
直腸腟瘻 高位 低位
■直腸膣瘻の治療法

手術以外に治す方法はありませんが、排便の改善、クローン病では内科的治療法の強化で症状を軽くすることはできます。手術は以下に分けられます。

  1) 経肛門直腸的手術法:
    a. 直腸を切開して膣中隔を縫合
    b. 直腸移動弁修復術

  2) 会陰切開法:
    瘻管まで切開して順次縫合して閉鎖

  3) 経膣的方法:
    膣中隔の閉鎖に加えて前方肛門挙筋形成術を行う

当院では若年者で低位の症例には直腸移動弁修復術を第一とし、高位の例では直腸切開法としています。また50歳以上で分娩の必要がなくなった例では、前方肛門挙筋形成を含む経膣的方法を採用しています。会陰を切開し瘻管を開放してから縫合再建するのは再発率が高く、現在では用いていません。
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