コンパクト版
仏説療痔病経
■仏説療痔病経(ぶっせつりょうじびょうきょう)とは
 日本に伝えられた療痔病経の漢訳は、唐の三蔵法師義浄(635〜713年)により710年に翻訳されました。この漢訳『療痔病経』は、『大蔵経』などに収載されており、500字もならないお経です。
その内容は、ブッダがラージャグリハにある竹林精舎の迦蘭陀迦園に五百人ほどの僧とともに滞在していた際、弟子のアーナンダから同所の僧たちが痔疾に苦しめられていると聞き、『療痔病経』を用いるように勧め、この経の功徳(効能)を述べた後、「療痔病経」そのものを説く、というものです。
 この当時の『痔』とは、肛門周辺に生ずるものばかりではなく、各種の小肉が突出した病変であれば『痔』と言っていました。
 この『療痔病経』にも、風痔、熱痔、三合痔、血痔、腹中痔、鼻中痔、歯痔、舌痔、眼痔、耳痔、頂痔、脊背痔、屎痔などを例として挙げており、この経により様々な痔病をことごとく取り除くことができると説いています。

■仏説療痔病経(抜粋)  
 下記のカタカナの部分が、療痔病経の陀羅尼(真言、呪文)の部分になります。「現世利益のお経」大森義成編著 2004年7月発行から一部を引用します。

是《かく》の 如《ごと》く 我《われ》 聞《き》く (略)
仏《ほとけ》 阿難陀《あなんだ》に 告《つ》げたもう。汝《なんじ》 此《こ》の 療痔病経《りょうじびょうきょう》を聴《き》く 可《べ》し。読誦《どくじゅ》し、受持《じゅじ》 繋心《けいしん》して 忘《わす》れる こと勿《なか》れ。亦《また》 他人《たにん》に 於《おい》て 広《ひろ》く 宣説《せんぜつ》を為《な》せ。此《こ》の 諸痔病《しょじびょう》 悉《ことごとく》く 徐差《じょさ》する ことを得《え》(略)
皆《みな》 応《まさ》に 是《かく》の 如《ごと》き 神呪《じんしゅ》を 誦持《じゅじ》すべし。即《すなわ》ち 呪《しゅ》を 説《と》いて 曰《いわ》く
タニャタ アランデイ アランメイ 
シリベイ シリメイシリメイ マカツ
シツシツサンバト ソワカ
(略)
又復《またまた》 若《も》し 常《つね》に 此《こ》の 経《きょう》を 誦《じゅ》せば、宿住智《しゅくじゅうち》を 得《え》て、能《よ》く 過去七生之事《かこしちしょうのこと》を 憶《おも》う。呪法《しゅほう》 成就《じょうじゅ》 莎訶《そわか》。又《また》 呪《しゅ》を 説《と》いて 曰《いわ》く
タニャタ センメイセンメイ
シャセンメイ センマデイセンマデイ
シャセンメイ ソワカ
仏《ほとけ》 是《こ》の 経《きょう》を 説《と》き 已《おわ》る。時《とき》に 具寿《ぐじゅ》 阿難陀《あなんだ》 及《および》 諸大衆《しょだいしゅ》、皆《みな》 大《おお》いに 歓喜《かんぎ》し 信受《しんじゅ》 奉行《ぶぎょう》しぬ
仏説療治病経《ぶっせつりょうじびょうきょう》

その他参考文献:「仏教文献『療痔病経』とその関連文献について」 日本医史学雑誌 第57巻第3号(2011)

《  》は、ルビです。

 
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